ソラマメブログ

2010年11月23日

07年SL私的回顧 その5 SLビジネス研究会:後編



07年SL私的回顧 その5 SLビジネス研究会:後編



07年SL私的回顧 その5 SLビジネス研究会:後編



前回と前々回の続きです。

 *07年SL私的回顧 その3 SLビジネス研究会:前編
  http://sos.slmame.com/e1006551.html

 *07年SL私的回顧 その4 SLビジネス研究会:中編
  http://sos.slmame.com/e1006888.html



<第13回定例会> 講師「Neko Link」さん

ご存じ、マグスルの社長さんです。

ちなみに「マグスル」という名称ですが
SLに入った当初のネコさんは
ショップなどを紹介するSL内マガジン(巨大な看板)を作りました。
その名称が、

  「マガジン オブ セカンドライフ」

略して、

  「マグスル(mgsl)」

となったわけです。

ネコさんが初めて購入したSIMは「ミライ」。
SLに入って半月後の11月1日で
日本人が遊べる街を作るのが目的だったそうです。

同時期に、あるSIMの7割ぐらいの土地を購入し、
ここで個人相手の不動産ビジネスを始めました。 
これがマグスルの土地ビジネスの始まりです。

この土地はあっという間に売り切れてしまい、
これに商機を感じたネコさんはSIM単位で土地ビジネスを始めます。
その最初のSIMが「池袋」だったそうです。

07年の講義当時は
89個のSIMを所有し、
そのうちの79のSIMで土地ビジネスを行っていました。


以下、講演内容

◎ビジネスの売り上げについて

 ◇一ヶ月の売り上げが9月が1800万円。
  
 ◇そのうち個人への居住区レンタルは200万未満。
  法人相手のレンタルが約400万ほど。

 ◇広告料が100万ぐらいで
  残りの1千万以上はSIMや建物の製作代行。

 ◇社員は12名で、
  そのうち個人へのレンタル担当が6名。
  そのぐらい個人相手の土地レンタルは効率が悪い。

◎法人相手の土地ビジネスについて

 ◇最初に法人にプレゼンにいったのが06年12月。
  メルティングドッツの朝枝氏と一緒に某大手デパートに行ったが、
  全く相手にしてもらえなかった。

 ◇法人と直接取引をするのは難しいと感じ、
  間に広告代理店を挟むことに。
  その理由は、最初に参入する企業はどうせ広告目的だろうから。

 ◇広告業界の発想は
  テレビのCMや雑誌を「枠」という単位で買い締めること。
  では、その「枠」をSLに作ってしまえと
  企業誘致「枠」をもった巨大なマグスル東京を考えた。

 ◇マグスル東京は世界で唯一の個人と企業が融合したモデル。

◎今後のビジネス展開について

 ◇今後のSLにおいて有望なビジネスはアバター相手の物販。
  一つ一つはRLから見れば少額の取引にすぎないが
  市場全体は大きく有望。
  RLの着メロと同じ。

 ◇今後、マグスルはSL内の物販ショップを支援していく

◎SLでのリアルの物販について

 ◇ビジネスとして成り立つのは2009年か10年あたり。
  VISTAの普及後。

 ◇リアル物販が成り立つ鍵は、
  SLにおけるアバターへの擬似体験。
  単なる広告をみせるよりもより深い刷り込みを行うこと。
  体験型マーケティング。

 ◇リアル物販ビジネスを成立させるには
  自分が売りたい商品にそったSIMなり建物なりを構築すること。
  単に商品を並べるだけでは駄目。
  SLならではのテイストを入れること。

◎物販ショップでの売り上げ倍増方法

 ◇SLの原始的な検索システムを有効に使いこなすこと。
  
 ◇SLの検索での説明書きは文字数が限られているので
  商品の種類別に店の端っこの土地を4mx4mづつ切りとり、
  そこにそれぞれの商品の説明書きを書く。
  商品ジャンルごとにやることによってロングテールになる。

 ◇アバター相手の物販は
  「なりたい自分にならせてあげる」のがポイント。
  この意味では衣装などと並んでアニメーションが有望な市場。



<第15回定例会> 講師「Next Merlin」さん

「KABU SIM」オーナーさんです。
SL内にて株取引所を開設しました。
日系ではこの人が最初だったと思います。

ネクストさんがSLに入ったのは06年12月。
その頃、SL経済などという言葉をあちこちで聞こえてきて、
経済というなら金融がないと面白くないと思ったネクストさんは、
株取引の取引所を作ってやろうと
07年4月にカブSIMを購入します。

ネクストさんが調べてみると
海外にはすでに複数の取引所が存在しており、
「私が最初に日本版をつくりたい」と思ったそうです。


以下、講演内容

◎カブSIMでの株取引の仕組みについて

 ◇基本的には、投資家がL$で企業に投資して、
  リターンをもらうという仕組み。

 ◇ネクストさん自身は株取引による手数料で利益を得る。

 ◇取引手数料による利益取得は、
  株の売買が多くならないと手間の割には収益も厳しく、
  海外の複数の取引所は途中で挫折してしまっている。

  その要因は取引の運営の大変さ。
  上場審査や日々の上場企業とのコミュニケーション、
  投資家からの問い合わせ対応など。

◎カブSIMでの上場について

 ◇現在(講演当時)、上場しているSL内企業は2社。
  共に月に数十万L$の利益を上げている。

 ◇上場審査は、文書による審査、
  現地に行って実査、相手側との面接など。

 ◇上場企業には、月次で財務状況の報告や
  会社としてアナウンスをだしてもらうようにしている。
  ちなみに、財務の分類項目はRLと同じわけにはいかず、
  単純に「売上げ」「経費」「利益」など。
  どこまでが経費なのかという範囲も難しいものがあるとのこと。

 ◇監査のようなシステムもなく
  企業側に誠実にやってもらうしかないのが現状。

◎SLでの株取引に対するRL当局の対応について

 ◇今のところは仮想世界や仮想通貨の法的位置づけが難しく、
  現時点ですぐに法が適用されることはないと思う。
  それは仮に仮想世界で銀行業を営もうとして
  免許申請を行ったところで、全く相手にされないことと表裏一体。

 ◇しかし、消費者被害等が発生すれば、
  現行法の適用により違法とされるリスクがあり、
  トラブルを未然に防止するためにも
  利用者の保護の観点からシステムを整えていこうと思っている。

◎今後の構想

 ◇現在の基準ではなかなか上場することが難しいため、
  ショップオーナーなどが上場しやすいように配慮した仕組みや、
  クリエイターファンドなどを模索している最中。


ネクストさんがお話の最中によく言ってたのが、

  「SLでは会社そのものが規定されてない」
  
  「株式会社の仕組みも存在しない」

  「RLの商法に相当するものがない」

ということでした。

まあ、同感ですね。
SLでの「株取引」ってとても大変だろうと思います。
仕組み自体を一から作っていかないといけませんしね。

で、この講演の一ヶ月後の08年1月。
リンデンがSL内での銀行業務の禁止令をだしました。

* インワールド「銀行業務」に関する新規定

 適切な政府登録届出書あるいは
 金融機関設立許認可書の証明無しに、
 セカンドライフ内に設置されたATM(キャッシュマシーン)等、
 いかなるオブジェクトからの、
 (リンデンドルあるいはいかなるリアル通貨であれ)
 投資に対する利息あるいは直接的な利益を供与することは禁止。

この結果、SL内の金融の発展は
とどめを刺されたのも同然となりました。



以上、3回に渡って
07年頃に活発に活動していたSLビジネス研究会での
講義の内容を掲載してきました。

講師はこれ以外にも
多くの著名人・大物が登壇しました。
全員載せられないのが残念です。

まー、今振り返ってみると
あの頃のSLってひたすら昇り調子で
その後に訪れる衰運などは誰もが予想してませんでした。

でも、こうやって講演の内容を再び見てみると
あの頃は皆さん夢があったなーと思います。
仮想世界の可能性を信じていました。

私自身は「仮想世界」というものは
試行錯誤はありつつもいずれは拡大していくと思ってます。
歴史の必然のように感じています。

ただ、その拡大するであろう「仮想世界」が
セカンドライフであるのか否かは
正直なんとも言えないですねー



関連過去記事

 *07年SL私的回顧 その1 生まれてから
  http://sos.slmame.com/e970043.html
  
 *07年SL私的回顧 その2 コスプレと馬
  http://sos.slmame.com/e1005991.html

 *07年SL私的回顧 その3 SLビジネス研究会:前編
  http://sos.slmame.com/e1006551.html

 *07年SL私的回顧 その4 SLビジネス研究会:中編
  http://sos.slmame.com/e1006888.html








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Posted by Owner 「Eri Carfagno」 at 21:39 │SL回顧